Title

Description

    継続力と技術進歩が成功の鍵

    M.Reuss GmbHはシュヴァルツァッハ・アム・マイン(ドイツ)に拠点を置く家族経営のモデル、鋳型、金型製造業者で、現在は三世代目を迎えています。発案から大量生産品の製造まで、常にお客様の要望に沿いつつ、厳しい納品期日をもものともしない姿勢を貫いてきました。お客様からの高度な要望や納期のプレッシャーに対応するため、M.Reussでは65年にわたる経験を駆使するとともに、内部プロセスの適合を常に実施。

    会社

    M.Reuss GmbH

    都道府県

    Schwarzach am Main, ドイツ

    主要課題

    生産性アップのためのプロセス最適化

    利点
    • 自動化と標準化
    • 一年以内にカウンセリングへの投資コスト以上の収益
    • 機械ダウンタイムの低減、スループットタイムの短縮
    分野

    鋳物製造

    部品加工

    金型製造

    自動車産業

    公開済み

    2016

    インタビュイー: マティアス・ロイス氏(Matthias Reuss)、マルクス・ロイス氏(Markus Reuss), 機械工学士、模型製作スペシャリスト

    Tebisコンサルティングのプロセス・投資コンサルティングにより、当社の生産性が長年にわたり向上されました。不況となった2009年10月でも、私たちは新しい機械および技術に投資し、市場が衰退傾向にある中で当社は常に経済的に向上されていきました。

    マルクス・ロイス氏(Markus Reuss)、事業経営者, M. REUSS GmbH

    M.Reussでは伝統と最新技術がうまくミックスされています。2800平方メートルの両工場には、その特徴がしっかりと活かされています。創業者のマックス・ロイス氏が作業台を改造して作り上げた旋削機も、いまだにその他の発明品と並んで展示されています。また、今日では2台の門型マシニングセンターDMC 105 V linearや移動列型マシニングセンターDMF 260-11 linearなどの5軸マシニングセンター7台と最先端の部品の使用により、きわめて精度の高い製品を製造。モデル、鋳型、金型は4箇所のCATIAワークステーションと15箇所のTebisワークステーションで設計されます。M.Reussでは1990年からCAD/CAMシステムが使用されているため、当時は歴史的な初代PC-286Lで初期のTebisが使用されていました。現在M.Reussで製造されているのはほぼ90%が自動車産業向けで、特に空気圧式や油圧式のアルミニウム製インテリアツールのプロトタイプから大量生産まで、さらにはキュービング部品やゲージも生産されています。

    2000年から共同経営者に:模型製作スペシャリストのマティアス(Matthias)、機械工学士のマルクス・ロイス(Markus Reuss)兄弟(左から)。

    初めてのプロセス・投資コンサルティング

    M.Reussが2006年に初めて採用した5軸門型マシニングセンターはHuron KX 100でした。ところが、さらに5台の5軸門型マシニングセンターを導入して間もなく、マシニングセンターの作業速度が速すぎて社内のプロセスが追い付かないことが判明したのです。DMC 105 linearの性能を最大限に生かすため、両経営者は専門家の意見を仰ぐことを決断。ちょうど2008年から、Tebisコンサルティングでは自社コンサルタントによるプロセス・投資コンサルティングを開始しました。当時の目標は、機械への投資が実を結ぶようにプロセスを変更するというものでした。

    現状分析の結果、特に情報伝達フローや作業プロセス、プロジェクト・機械の詳細計画、さらにツールの管理に弱点があることや、その詳細も判明しました。マルクス・ロイス氏によると、コンサルティングで得られた最大の利点は、作業テンプレートによる製造段階のペーパーレス化、そして特にデザインとプロセス計算の自動化・標準化、さらにその結果誕生するより効率的な製造工程だったといいます。もちろん、M.Reussではマシンオペレータが機械で直接NCプログラミングを行うという点もコンサルティングでは鍵となりました。

    M.Reussでは作業現場でTebisのプログラミングが行われるのです。マルクス・ロイス氏によると、実際にCNCマシンで作業を行った方が成果が上がるだけでなく、従業員により快適で多彩な作業環境を提供できるというのがその理由とのこと。それだけでなく、マシンオペレータの経験や専門知識も直接プログラミングに活かすことができます。

    このモデルを機能させ、同時に機械ダウンタイムや度重なる説明を防ぐには、デザインと手順を明確化するしかありません。このため、デザインとNCプログラミングの最適な組み合わせに焦点が合わされました。両部門の連携を最適化するため、TebisのコンサルタントはM.ReussにTebisの技術を幅広く活用し、プロセス加速のため集中的に投入するよう助言させていただきました。

    Tebisの技術で生産性アップ

    デザイン部門では作業時のカラーコーディングを統一し、自動的に標準形状を書き込むためのフィーチャを導入。さらに、Tebisインプリメンテーション部によってM.Reuss向けにNCセットのセットアップが行われ、その特定の加工タイプをベースに関連の個別機能から正確な加工手順と全生産パラメータ、必要なツールを割り当てたり変更できるようになりました。

    また、テンプレート(NCジョブ)のセットアップも行われ、似通ったデザインやツールの部品等級ごとに加工作業が定義されました。以上の準備により、NCの準備とNCプログラミングの自動化・標準化に成功。

    Tebisデザインワークステーションで自動車シートの鋳型をデザインするプロジェクト責任者のアヒム・ブリュックナー氏(Achim Brückner)M.ReussではTebisがフローティングモードで使用されています。

    2.5Dドリルツールとハンドチェンジツールも機械の標準ツールすべてと一緒にTebisツールライブラリに保存されています。

    それだけでなく、Tebisの従業員がツールをすべてツールライブラリに保存。その結果、効率アップと機械ダウンタイムの低減、スループットタイムの短縮が見られました。そして、初年度のうちにTebisコンサルティングとサービスへの投資を上回るほど収益が上がり、予想以上の成果を上げることができたのです。

    模範的なTebisのサービス

    そのメリットの大きさは、Tebisの従業員によって作成されたプロセス最適化のパターンがM.Reussのお手本として使われ、さらに5回も5軸マシニングセンターに関するお問い合わせをいただき、実際に5年間かけて発注いただいたということからも一目瞭然でしょう。Tebisの従業員が出向かずともフィーチャ検知を使ったり、NCセットやテンプレートのセットアップ、ツールライブラリへのツールの追加を行うことができ、今日では何千ものツールコンビネーションがツールライブラリに保存されています。「Tebisのプロセス・投資コンサルティングを通じ、営業不振に陥っていた2009~2010年ですら新技術と新しいマシンに投資することができ、おかげで当時の市場不振にもかかわらず当社の財政面を立て直すことができました」と当時を振り返るマルクス・ロイス氏。

    M.Reussで主に取り扱う部品:自動車シートのアルミニウム製フォーミングツール、キュービングサイドパネルやウィンドウフレームのゲージ、いずれも自動車部品サプライヤー向け。

    従業員への報酬

    ベンチシートの製作では2台のビューワステーションによってデザイン/製造部門間の情報の流れがスムーズになり、作業効率が大幅にアップしました。この事例からも、一貫した設計済みプロセスがどこでも成功をもたらすことがお分かりいただけるでしょう。

    プロジェクト開始当時に掲げた目標を達成し、設定した対策を実行しただけでなく、「今日でもまだ作業の基盤として当社で生きています」と語るマルクス・ロイス氏。それでも、M.Reussでも最初からすべてが順風満帆というわけではありませんでした。開始当初はTebis AGへのコンサルティングやサービスへの投資に加えて、プロジェクトに力を入れすぎて日常業務がおろそかになるのではないかといった不安もあったそうです。さらに、従業員からも変化に対して不安の声が上がりました。それも当然のことで、Tebisコンサルティング責任者のイェンス・ルディケ氏(Jens Lüdtke)によると、「これまで手掛けてきたプロジェクトの大半で、変化を迫られた従業員の不安と向き合ってきました。ですので、関係者のみなさん全員に参加してもらうことを最重要課題として考えています」とのこと。M.Reussでは、Tebisを使ってソフトウェアの性能を出し切るとデザインやプログラミングの速度がどれだけアップするかを説明することで、それまで懐疑的だった従業員のみなさんにも納得していただくことができました。そして、従業員には最後に「報酬」(マルクス・ロイス氏談)も出されました。勤務時間外にNCプログラマーやマシンオペレータが作業員なしで機械を稼働させた場合、その分支払いが行われるというものです。そして、ようやくプロセスが機械に追い付きました。

    要件が変われば新たにコンサルティング

    2015年10月より、M.Reussでは二度目のコンサルティングが行われています。「今回もテーマはプロセス加速です」とマルクス・ロイス氏は話してくれました。セットアップ時間削減のため、M.Reussでは今後パレット交換機とマルチセットアップを使用していきたいとのことです。目標はまず単体部品製造のためにテーブル5台とツール260個を搭載した5軸マシニングセンターを一台導入し、それまでにゼロポイント・クランプシステムを準備しておいて、組み合わせて使用するというもの。「投資の見返りは必ずあるはずです」とマルクス・ロイス氏は自信をのぞかせました。当時のように、今回もTebisコンサルティングにご相談いただいています。このことからも、継続力と技術進歩の大きさを感じさせられます。

    機械工場の風景
    前経営者でマティアス、マルクス・ロイス兄弟の父にあたるマンフレッド・ロイス氏(Manfred Reuss)が作業台から改造した旋削機(左)とマルノコ盤(右)。
    Tebis – シンプルで直感的
    模型製作スペシャリストのマティアス・ロイス氏により、社内ではさらに二名の模型製作スペシャリストが育成されました。同氏によると、模型製作の仕事は非常にバラエティに富んでいて、面白いのだそうです。デザインエンジニアやCNC加工技術者には採用前、一週間のインターンプログラムの枠組みでいくつも練習課題が与えられます。課題の中には、トレーラー連結部のスケッチをTebisで3Dモデルに変換し、さらに必要なフリー形状サーフェスを設計するというものもありました。「この課題をもとに、一週間でインターン生の空間創造能力や問題解決能力、学習能力や潜在能力がかなりしっかりと把握できるんです。(企業とインターン生の)どちらにもプラスになっています」と説明するのはマルクス・ロイス氏。さらにTebisについては、「Tebisは直観的で簡単に操作できると、作業に携わる職業訓練生/専門スタッフには好評ですよ」と強調。また、ご自身ではTebisの一貫性と幅広い機能が気に入っているとのことです。
    インターンプログラムの一部に組み込まれているトレーラー連結部のスケッチ。M.ReussでCAD/CAMを使った作業に携わる専門スタッフには、これをTebisで3Dモデルに変換するという課題が出されます。